TimoLassyBand
© photo by Maarit Kytöharju

Tampere Jazz Happening 2020

フィンランド

Words by JazzProbe

Timo Lassy Band(Yrjö Award )

世界がいまだ新型コロナウイルスの影響を受けている2020年、音楽業界を取り巻く状況はとてつもなく厳しい。北欧では夏のフェスティバルは中止になり、ようやく10月頃より各国のルールによる感染対策のもと、徐々にジャズ・フェスティバルを含むイベントが再開され始めた。

そうした中、フィンランドで1982年より始まった歴史あるジャズフェスティバル『第39回タンペレ・ジャズハプニング』が10/29~11/1の日程で開催するに至った。ただ、例年までと異なるのは、非常事態のため、国外からアーティストを招聘することができないことだ。昨年の取材でもそうだったように、フランスのジャズに焦点を当てるなど、本来はその年のテーマに沿って開催されている国際的なフェスティバルである。そういった経緯から、フェスティバル史上初のフィンランドのアーティストに限定した”Made in Finland”をテーマに、若手からベテランまで18グループが出演することとなった訳である。

© photo by Maarit Kytöharju

アマンダ・ブロムクヴィスト

© photo by Riikka Vaahtera

セルマ・サヴォライネン

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Gourmet

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MMQ

© photo by Riikka Vaahtera

ミッコ・ペティネン・ホワイナット

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マッティ・サロ・カルテット ©Riikka Vaahtera

昨年同様、トゥリカマリ広場を挟んだ大小2つの会場(「パッカフオネ」と「テラッカ」)で、今年は人数を制限してのチケット販売、そして広い会場のパッカフオネから、スタッフの尽力によりライブの模様を自宅に居ながら高画質で視聴することができた。残念ながら「テラッカ」でのライブ配信はなかったが、アマンダ・ブロムクヴィストやセルマ・サヴォライネン(父がヤルモ・サヴォライネン)などの若い世代や、Gourmet、MMQ、ミッコ・ペティネン・ホワイナット、そして最終日にマッティ・サロ・カルテットが出演(現地テレビ局で一部放送されていた模様)。こちらはクラブ的な雰囲気でミュージシャンとも近く、例年は立ち見もでるほど盛況なのだが、今年はゆったりと楽しんでいる姿を容易に想像できる。

コロナウイルスの制限という異例の開催となった4日間の『タンペレ・ジャズハプニング2020』を終えて見えてきたものは何か。チケットは通常の販売数の約3分の1の数で販売されたが、実際ふたを開けてみると、両会場を併せても約95%の座席が埋まったという。また初日の無料ライブ配信では1200人ものオンライン視聴者が参加し、有料配信された各コンサートでも数10枚のオンラインチケットが販売されたという事務局からの報告があった。異例尽くしの初めての準備などに追われ、苦労が多かったことは想像に難くない。そうした中でも、会場からの心温る雰囲気の中、ライブを共に体験できるこの機会に観客と出演者が一体となって純粋に喜びを感じていることが、自然とフェスティバルの成功に繋がっていたと言えるのではないか。

節目の第40回『タンペレ・ジャズハプニング2021』は2021年11月4日から7日まで開催される予定だ。

Kielo Karkkainen
© photo by Maarit Kytöharju

キエロ・カルッカイネン&タミング・メイ © Maarit Kytöharju

Masa Orpana Honk
© photo by Maarit Kytöharju

マサ・オルパナ・ホンク © Maarit Kytöharju

Utopianisti
© photo by Maarit Kytöharju

ウトピアニスティ © Maarit Kytöharju

初日は、カーメン・マクレエをトリビュートしたキエロ・カルッカイネン&タミング・メイ(Kielo Kärkkäinen & Taming May)、またブルース&ブルース、ホンカ―・スタイルのサックス3管アンサンブルが極だったマサ・オルパナ・ホンク(Masa Orpana Honk)がアグレッシブにスイングした。国際的に名声のあるフィンランドのプログレッシブ・ロックのペッカ・ポホヨラの影響を引き継ぎ、ジャズのエッセンスも兼ね備えた7人編成のウトピアニスティ(Utopianisti)が力強いサウンドで最後のステージを飾り、観客から温かい声援、拍手を浴びた。こうして複雑な気持ちで迎えたフェスティバルの第一幕が開けた。

10.30 ユリヨ・アウォード
Yrjö Award 2020 レポート

10.30 イロ・ハールラ・カルテット
Iro Haarla Quartet レポート

10.30 ユッカ・グスタフソン・プログノシス
Jukka Gustavson Prognosis レポート

10.31 レイスカ・ライネ・クインテット
Reiska Laine Quintet レポート

10.31 ヨアキム・バリへ―ル ダーク・ロースト006
Joakim Berghäll Dark Roast 006 レポート

10.31 ティモ・ラッシー&テッポ・マキュネン
Timo Lassy & Teppo Mäkynen Duo レポート

10.31 アンティ・ロトョネン クインテット・イースト
Antti Lötjönen Quintet East レポート

11.01 ヴェルネリ・ポホヨラ&トゥオモ・プラッタラ
Verneri Pohjola & Tuomo Prättälä レポート

11.01 モータリティ
Mortality レポート

11.01 ティモ・ラッシー・バンド
Timo Lassy Band レポート

リンク

Tampere Jazz Happening


Timo Lassy & Teppo Mäkynen

Timo Lassy + Teppo Mäkynen
WeJazz 2019