IroHaarlaQuartet-2912p
© photo by Maarit Kytöharju

Iro Haarla Quartet

フィンランド

Words by JazzProbe

2005年にECMデビュー作『ノースバウンド』を発表したフィンランドの女性ピアニスト、イロ・ハールラがカルテットで登場。ハールラはシベリウス・アカデミーでは日本人ピアニストである舘野泉氏にピアノを師事、ECMなどに多くのアルバムを残したレジェンドアーティストである故エドヴァルド・ヴェサラ(ds)のパートナーで知られる。2006年には前述のユリヨ・アウォードも受賞した。直近では2017年WE JAZZ(EMU’s night)に出演した際に聴いている。共演者は85歳を迎え現役でプレイするサックス奏者のユハニ・アールトネン、北欧のミュージシャンから絶大な信頼を得るドラマー、マルック・オウナスカリ、そして、デュオなどでも長年活動を共にするベースのウルフ・クロックフォルス。まず1曲目を終えると、コロナ禍で活動できない中、ここタンペレで演奏することができる喜ばしい気持ちをMCで述べていたのが印象的だった。

Iro Haarla Quartet
© photo by Maarit Kytöharju

非常に繊細で心の奥深く訴えかけ、私たちの五感を刺激してくれる叙情的な彼女の世界観は普遍的である。アールトネンの朗々と表現されるプレイは類まれなもので心地よい余韻が残り、まさに経験に裏付けられ達観したテナーサックスの肉声が聞き取れ、ゆったりとしながらも、大らかで懐の深いものをイメージさせる。それは自然からインスピレーションを受けた、例えば静寂の森の中にある美しさを表現したり、身近にある湖岸での様々な情景を想像させたりと、聴く側にも身体全体で受け止めて聴く必要があると感じさせてくれる。ECMが言うところの「静寂の次に美しい音楽」である。ライブ配信でありながらも視覚、聴覚を大いに刺激してくれる音楽でありながら、美意識に基づいたひとつの音の集合体を体感できたひとときだった。もちろん、現場にいないので、その場のダイレクトな雰囲気を感じられないないのは残念だったが。

Iro Haarla: piano
Ulf Krokfors: double bass
Markku Ounaskari: drums
Juhani ”Junnu” Aaltonen: tenor sax

リンク

Iro Haarla
Tampere Jazz Happening

ECM

ECM Recordings
ラベル