Takuya Kuroda with MISIA
Words by JazzProbe
トランペッタ―の黒田卓也率いるニューヨークで長年共に活動してきたメンバーで構成された日米混成バンドの軽快なパフォーマンスで始まったステージ。
MISIAが2曲目から登場。大歓声が会場にこだまし、スタンディングした熱烈なファンで熱気を帯びた会場はジャズコンサートでは稀な光景であった。演奏曲はすべてMISIAのヒット曲から。観客とのコール&レスポンスを始めとして、観客をMISIAワールドへ誘っていく様子は、東京ジャズのステージにおいてもいつも通りのコンサートのようなスタンスで臨んでいるような自然体のパフォーマンスが好印象だった。バンドは気の利いた、かつ的確なリズム、ホーンのアレンジにより楽曲をワンステップ先のクオリティへ推し進める。特に「真夜中のHIDE-AND-SEEK」で顕著であり、ブラックミュージック・ファンにもたまらないかっこ良さである。
それは、リズムセクションの要のドラマーがMISIAバンドをサポートしていることも要因のひとつだろう。バンドリーダーである黒田のMCも好評で、観客との距離感を縮めていく役割を担っていく。
アップテンポの楽曲が続き、NHKの番組『ダーウィンがきた!生きもの新伝説』のテーマソングに採用された「AMAZING LIFE」ではMISIA自身、大好きな番組を公言しており、大地に響くかの如く感情を存分に込めてソウルフルに歌い上げていた。さらに「オルフェンズの涙」のイントロでは大林のピアノと黒田のリリカルなトランペットソロによるデュオに導かれ、巧みに陰影を表現したMISIAのダイナミックさが楽曲に懐の深い印象を与えていた。オリジナルとは異なり新たに加えられたイントロのホーンセクションのリフがフェンダーローズの音色に小気味良く乗った「陽のあたる場所」では、終始手拍子をして純粋に楽曲を楽しめるポップスの良さを再確認した。
ライブも終盤になり、ニューオーリンズに代表されるセカンドランのビートのリズムアレンジによりフェスティバル感にあふれたイントロで始まったヒット曲「包みこむように」。多少、窮屈な譜割のリズムアレンジの感もあるが、ファンキーに歌い上げるMISIAに魅せられて大喝采、ジャズフェスでありながらファンも納得の盛り上がりとなったに違いない。
ラストはバラード「アイノカタチ」を熱唱して、MISIAファンはもとよりジャズファンの心をぎゅっと掴んだ初日のステージに熱く心地良い余韻を残した。
©18th TOKYO JAZZ FESTIVAL Photo by Hideo Nakajima
©18th TOKYO JAZZ FESTIVAL Photo by Rieko Oka
MISIA (vo),黒田卓也(tp),コーリー・キング(tb),クレイグ・ヒル(ts),大林武司(key),ラシャーン・カーター(b),トモ・カンノ(ds)
Set List
1. ABC
2. 来るぞスリリング
3. めくばせのブルース
4. 変わりゆく この街で
5. 真夜中のHIDE-AND-SEEK
6. LADY FUNKY
7. AMAZING LIFE
8. オルフェンズの涙
9. 陽のあたる場所
10. つつみ込むように・・・
11. アイノカタチ-
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リンク
Tokyo Jazz Festival黒田卓也
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