Avishai Cohen Trio
Words by JazzProbe
©18th TOKYO JAZZ FESTIVAL Photo by Hideo Nakajima
初日の夜公演はイスラエル出身でコンテンポラリージャズ・シーンを代表するアーティストがステージに姿を現すなり、喝采と大歓声に包まれた。一曲目が終わるやいなや、そのパフォーマンスにさらに会場がヒートアップし、それが期待通りのものであり、いかに観客が心待ちにしていたかがうかがえる幕開けとなった。
続いて、モチーフがシンプルで軽やかながら、憂いのある美しいワルツ「Lo Baiom Velo Balyla」では、自由なスペースを使い淡々と音を紡ぎだしていく心地良いトリオの一体感が堪能でき、エンディングに余韻を残す印象的な作品だ。変拍子、ユニゾン(p&b)が特徴的なイスラエル・フィーリング溢れる「Face Me」では、ほぼ全編アルコでプレイされ、多彩なテクニックを駆使した高度で卓越した表現が際立った。
新作のタイトル曲でもある「Arvoles」では可憐なメロディに誘われメルヘンの世界に紛れ込んでいるかのような錯覚を起こす良質の小品だ。そして、「The Ever Evolving Etude」では、ラテンフレイバーの曲調に乗って、幾何学的な譜割りが特徴的なリフをモチーフに変拍子でドライブ感のある流れを作っていく。ベース、ピアノの短いソロをはさみ、ラストはマーク・ジュリアナの豪快で繊細なドラミングで、大喝采のステージで締めくくった。
会場全体がホットで心地よい雰囲気となったことは、この後に登場する世界的な名声を得るきっかけとなったチック・コリアのアコースティックバンドにとっても良い流れとなっていたことだろう。
余談だが、演奏曲収録のアルバムは全てヨーロッパで屈指のニレント・スタジオ(スウェーデン・ヨーテボリ)で録音されており、それが東京ジャズのステージでの統一感を醸し出していた要因のひとつだったことは決して偶然ではなく必然だったのだろうと思う。
©18th TOKYO JAZZ FESTIVAL Photo by Rieko Oka
アヴィシャイ・コーエン(b), マーク・ジュリアナ(ds), エルチン・シリノフ(p)
Set List
1. One For Mark
2. Lo Baiom Velo Balyla
3. Eleven Wives
4. Gesture #2
5. Gesture #1
6. Face Me
7. Arvoles
8. The Ever Evolving Etude
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