「デンマーク・ミュージックアウォード・ジャズ2021」の受賞者が決定！

デンマーク

Words by JazzProbe

Bremen Teater — © photo by Malthe Ivarsson

会場のコペンハーゲン、ブレーメン・シアター

12月6日、デンマークの年間ジャズの受賞者を決定する授賞式がコペンハーゲン、ブレーメン・シアターで開催。その模様はテレビとラジオで生中継された。作曲家であり女優でもあるジャネット・アルベック氏が3年連続で司会を務め観客や視聴者を巧みな話術で導きながら、賞の授与のほか特別パフォーマンスのステージが用意され、冷え込んだコペンハーゲンで華やかで温もりのある夜を演出した。
今年は、アルベック氏の共演者としてドラマーのクレステン・オズグッド氏が、時折、会場に設置されるスクリーンに登場し、ユーモラスなショート・ビデオでジャズのコンセプトを説明。7つのアウォードに特別賞が2つ、そして２つの奨学金がその年のベストなアーティストに授与された。

Jeanette Albeck — © photo by Malthe Ivarsson

司会を務めた女優ジャネット・アルベック氏。数々の華やかな衣装も披露

世界をより良い場所にする崇高な音楽

このショーのメインである「年間ジャズ・アルバム賞」を受賞したのは、デンマークで活動する日本人ピアニスト平林牧子が率いるグループ、ウィーバーズ。グループと同名のアルバムは「世界をより良い場所にする崇高な音楽」と評価された。「ジャズ作曲家賞」ではベーシスト、イェスパー・ソーンが「アルバムの中で表現された愛」と評されたアルバム『Boy』で獲得。

「ボーカル・ジャズ賞」は新進気鋭のシンガー兼作曲家、DJであるアストリッド・エンベアのデビューアルバム『Tulpa』が受賞し、「革新的でパワフルな催眠術のようなジャズ」と評価された。エクスペリメンタル賞は今回3部門でノミネートされたAar og Dag「Tifold af Fri Form og Fælles Motiv」が受賞。「ヒエラルキーへのアンチテーゼとしての遊び心と、謙虚で優れた楽観主義を生み出す」という彼らの試みが評価された。「新人ジャズ賞」は音楽集団Maratonのデビューアルバムが受賞。「すべての世界を操作したサウンド」、「デンマーク・ジャズの躍進」と評価された。

視覚性と自分自身のアニメーションを折りたたむ

また、新たに創設された賞である「クロス・エステティカル賞」はアルバムリリースの中で複数の芸術的表現を行っているアーティストに表彰される。All Too Humanの『Because You’re Worth It』は「ダンサブルで複雑な音楽、視覚性、そして自分自身のアニメーションを折りたたむ世界」が評価された。また、「チルドレン・ジャズ賞」は説得力のあるコンサートを行ったDe Ondeが子どもたちから最も多くのポイントを獲得し受賞した。

Astrid Engberg — © photo by Malthe Ivarsson

「ボーカル・ジャズ」受賞のアストリッド・エンベア（右手）

特別賞および奨学金

2年連続で、ウィリアム・デマン財団と共同で2つのジャズ奨学金「ミュージシャン賞」と「オーケストラ賞」にそれぞれ盾と賞金が授与された。前者を受賞したドラマーのイエッペ・グラムは好奇心旺盛な音楽が評価された。また後者はシーモン・トルダム・トリオが受賞。アコースティック・ピアノ・トリオの可能性を常に追求してきた点が評価された。アウォードを運営するジャズデンマークからは「コンサート賞」がMeutivitiに決定。コンサート・シリーズImpro Faunaはジャズが新しい持続可能な道を歩んだ。最後に、P8ジャズ賞‐フィアリー・ジャズ・ソウル2021はニルス・オアゴ―氏が受賞。ブログでの10年に渡る活動や「Moor Jazz Festival」の発起人としての活動が評価された。