祝 ジャズアルバム受賞!Teppo Mäkynen ー3TM/Form

フィンランド

Words by JazzProbe

Timo Lassy & Teppo Mäkynen

北欧ジャズを牽引したファイヴ・コーナーズ・クインテット。その元リーダーであり、フィンランドを代表するドラマー、プロデューサーのテッポ・マキュネンのニュー・プロジェクト、3TMのファーストアルバム「Form」が先日行われたフィンランドのグラミー賞である「Emma Gaala(エンマ・ガーラ)」においてジャズ部門の年間アルバム賞を受賞しました。

昨年、2017年秋に発売された本アルバムは、フィンランド屈指のミュージシャンであるJussi Kannaste(ユッシ・カンナステ)-ts、Antti Lötjönen(アンティ・ロジョネン)-bassをメンバーに迎え、実験的なアプローチも含め、イノヴェーターであるテッポの音楽遍歴が凝縮された質の高い作品となっています。

製作の手法として感じることは、モチーフとしてはとてもシンプルでありつつも、随所にメッセージ性の高いストーリーのあるトラックの数々を配置していることです。タイトルである「FORM」は、まさに異なる形態の作品の集合体であり、どのトラックから聴いても楽しめるアルバムになっているのも特徴のひとつです。また、テッポ自ら撮影したライナーの写真(ジャケット含む)がアルバムデザインのアクセントとなり、音とアートの両方を総合的に楽しめるようにもなっています。昨年12月初旬、フィンランド・ヘルシンキでの毎年恒例のジャズイベントWe Jazzの取材のため訪れた際に、多忙の中、テッポにインタヴューをさせてもらいました。

3TMとしては、2015年頃から6回程度のギグを行った後、昨年2017年2月にスタジオ入りし、レコーディングを開始。その後、大変な時期もあったとのことですが、無事に乗り越えて、ようやく完成したのが本作FORMです。本アルバムの核となるエレクトロミュージックの要素には絶えず関心があり、これまでも、ジャズとエレクトロ二クスの融合を試みながら制作したテディ・ロック名義の「ユニヴァーサル・フォー」(2004)をはじめ、全てテッポ自身の手によるスタンス・ブラザーズ「Kind Soul」(2007)ではさらにヒップ・ホップ、ソウル、ファンク色の濃い作品、またジョー・スタンス(2010)では、一転して女性ヴォーカルをフィーチャ―したテッポ流のソウルフルでファンキーなサウンドを打ち出してきました。

また、前プロジェクト、テディーズ・ウエスト・コースターズ(2015)では、ウェストコースト・ジャズにインスパイアされ、素晴らしいアレンジのアンサンブル、そして卓越したソロイストをフィーチャーした2枚の作品を残しました。こうした、バラエティに富んだ素晴らしい作品を世に送り出せるのは、プレイヤーとしてだけではなく、常にプロデューサーとしての姿勢で音楽に向き合っているから故なのだろうと思います。

現在、テッポのサイドメンバーとしての活動は、ユッカ・ペルコ・トリトーン、アキ・リッサネン・トリオ、ユッカ・エスコラ・ソウルトリオ、ティモ・ラッシー・バンドなど多数。また、来日する機会も多く、イタリアのニコラ・コンテのジャズ・コンボでは欠かせないサポートメンバーとして度々来日。昨年はアキ・リッサネン・トリオでの横浜ジャズプロムナード、そして先月のユッカ・エスコラ・ソウルトリオの初来日公演も記憶に新しいところです。

3TMの今後の活動としては、今月末にフィンランド・トゥルクでのFlame Jazzの一貫としてのギグ、夏には歴史あるポリ・ジャズへの出演が決定しています。また、4月にはフィンランドのトップビッグバンド、UMOジャズオーケストラとのコンサートで
テッポの世界観が目のあたりにできます。今後の活動にも引き続き注目すべきアーティストなのは間違いないですね。

FLAME JAZZ
Pori Jazz
TEPPO MÄKYNEN & UMO