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Photos by Atsushi Toyoshima (Jazz Probe)

Jonas Kullhammar

スウェーデン

Words by JazzProbe

サックス奏者、フルート奏者、作曲家、Moserobie Music Productionオーナー
1978年スウェーデン・ナッカ出身

いまやスウェーデン国内のみならずヨーロッパを代表するサックス奏者、ヨーナス・クルハマーは1998年より自己のカルテットを中心に活動を始め、これまで150枚以上のレコードにラブコールを受けサイドマンとしても参加してきた。2000年には主に自身の作品を広めることを目的としたMoserobie Music Production を設立し、セルフ・プロデュースの『Salut』を発表。そのデビュー・アルバムがスウェーデン・ラジオのジャズ部門で新人賞を受賞した。そのほか、スウェーデンの名だたるジャズ・アウォード、アルネ・ドムネルス賞、アリス・ベイブ賞、ラーシュ・グリン賞、ヤン・ヨハンソン賞など数多くを受賞している。さらには、スウェーデンのジャズ批評家によるジャズ・ミュージシャン・オブ・ジ・イヤーを2年連続で受賞、さらにジャズ・グループ・オブ・ジ・イヤーにも輝いた。そして、毎年行われるスウェーデンのグラミー賞ノミネートの常連であるなど輝かしい経歴を誇る。
自身のリーダーバンドも含め、参加するバンドは日本を含む世界中のフェスティバルなどに招聘されツアーも行っている。その中でも、Per “Ruskträsk” Johansson(sax)とのKullrusk、出身地をバンド名に冠したNacka Forumの創設メンバーでもあり、2013年の初日本ツアーが記憶に残っている。その他参加するグループとして、Kongsberg Jazz Festival 2018(ノルウェー)ではGoran Kajfes Subtropic Arkestra、WE JAZZ 2018 & 2019(フィンランド)のKoma Saxoの現地取材で、そのいかんなく発揮されるクリエイティブな実力を目の当たりにしてきた。

これまでスウェーデンのみならず、共演を重ねてきた多数のアーティストはざっと名前を挙げるだけでも国際色豊かだ。Carlos Garnett, Nicolai Dunger, Fredrik Norén Band, The Torbjörn Zetterberg Hot Five, Sonic Mechatronik Arkestra, Peanuts Hucko, The Plan, Nina Ramsby, Akira Sakata, Marcus Strickland, Eldkvarn, Jupiter Trio, The Core, Mulatu Astatke, Salem Al Fakir, The Hives, Ted Curson, Chick Corea, Jason Moran, Dungen, Rickie Lee Jones, Johan Lindström, Peter Eldh’s Koma Saxo, Juhani ‘Junnu’ Aaltonen, WAKO, Heggeなど 多数。

Jonas Kullhammar
© photos by Atsushi Toyoshima (Jazz Probe)

2020年には運営するモーセロビー・レーベルが設立20周年を迎えた。残念ながら新型コロナウイルスの影響のため、熱狂的なファンと共に盛大に祝うことが叶わなかったが、11月にストックホルム中心部の公園内にあるガラス張りの新しいパヴィリオンで無観客のコンサートが3回に分けてライブ配信された。初回は、リード奏者Per “Texas” Johanssonが、Mattias Ståhl(vib)、Margareta Bengtsson(harp)、Josefin Runsteen(ds)と共演。第2回目はサックス奏者Fredrik Ljungkvist Trioにヴォイス即興演奏家のSofia Jernbergが加わり音楽の可能性を拡げるパフォーマンス。そして最後は、ベーシストTorbjörn Zetterberg & Den Stora Fråganの大所帯グループが出演した。

これまで、同レーベルからリリースされた130タイトル以上のアルバムはどれも非常に高いクオリティで、特に北欧諸国のジャズの中でも強い個性を持ち、印象に残るミュージシャンを数多く紹介してきた。プロデューサーであるクルハマーの20年以上に渡る音楽活動において、その関係者や同僚とのネットワークを時間をかけて築き、彼の独特のユーモアに溢れ、かつ鋭いセンスが育まれ信頼を得てきた。また彼の美学はポスト・バップを基本として、ハードにスウィングする類の音楽から逸れることは滅多にないが、彼の真贋の範囲内で、これまでに様々な素晴らしい作品をリリースしてきた。それは、ジャズに対する既存のレコード業界の悲観的な態度に代わる、ミュージシャンや音楽業界の真っ向からのオルタナティブな存在として、スウェーデンのジャズ・シーンにおける、重要な役割を果たしてきたといえる。

ディスコグラフィ

Salut (2000)
Snake City North with Norrbotten Big Band (2005)
The Half Naked Truth (2009)
Låt Det Vara (2103)
Plays A Love Supreme EP (2013)
This Is The End (2013)


The Father, The Sons & The Junnu

The Father, The Sons & The Junnu
Moserobie Music 2020
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