Resilience
Mathias Landæus Trio スウェーデン
Words by JazzProbe
マティアス・ランデウスが率いるトリオは伝統的なジャズマナーを基盤としながら、奇抜なアプローチを交えながら表現していく絶妙なバランスが特徴だ。共演する2名の実力者と2019年より活動を共にしている。
まず。デンマークの名誉あるベン・ウェブスター賞を2024年に受賞しているドラマーのコルネリア・ニルソンは時に浮遊感を持ちながらも自由奔放なリズムを生み出し、ランデウスの鋭く自由なピアノ演奏と見事に調和している。そしてジョニー・オーマンの高音域のベースラインは全体に癒しを与えアルバムに温かみを注いでいます。
2022年『A Crisis of Perception』以来、2枚目(トリオ以外も入れると5枚目)となる本作『Resilience(回復力)』ではピアノが物語を語る重要な役割を担いながらも、リズムセクションが聴き手を引き込む要素として大きな魅力を持ち全13曲それぞれが異なる表情を持つ。オープニングの「Glömska av bly」では一定の拍を持たないフリーフォームを中心に即興とアヴァンギャルドなアプローチで進んでいく。タイトルトラック「Resilience」はセロニアス・モンク風の音列でメロディが奏でられ、パーカッシブな質感を持つドラミングが軽やかさと独特で粋なサウンドのエッセンスを加えている。また80年代シャーデーのヒット曲「Love Is Stronger Than Pride」のカバーではラテン風のリズムと軽快なベースのタッチが原曲に新たなロマンチックな風を吹き込んでおり新鮮さが光る。「Simple Math」と「Greed Ruined It For Everyone」ではメロディカを使用し、ピアノとユニゾンするメロディに注目だ。どことなく拍子抜けするサウンドを生み奇抜で耳から離れないだろう。遊び心とキャッチーさを取り入れながらも音楽を解体し、再構築することで予測不可能な展開を見せるのもトリオの特筆すべき点だ。
さらに「Skiss Till Bobo」では深夜のバーのような雰囲気を漂わせ、自由で緩やかに流れるリズム感が感じられる。「Start And Stop, Stop And Start」は構造的に複雑な楽曲でメロディに伴いドラムパターンがめまぐるしく変化し緊張感を生み出す。また、激しく短いイントロの「Blipful」ではドラムがパーカッシブに雨粒の音のように響き三位一体となり、1分半足らずという短い作品ながらもアルバムで独特の存在感を放つ。対照的に、70年代風の温かいフェンダーローズ・ピアノが主役の「Mother Earth Is All We Need」ではクラシックなスイング・スタイルで優雅さとリズム感を引き立てている。ランデウス・トリオは音楽的な幅広さを活かし、アルバム全体に多様な感情とサウンドを表現している。3拍子の「Trust」はビル・エヴァンスのスタンダード曲と思わせる構成と表現力で完成度の高い1曲だ。最後にCDのみボーナス・トラックのホレース・タプスコット「The Dark Tree」のカバーが収録。細かくシンバルを打ち付けるドラムビートとベースの躍動するリズミックなリフ、加えてピアノの細かく刻むリフがアフリカ音楽のように土着的に響き、音楽の情熱と憂いを醸している。特にリズムとテンポの変化がアルバムのクライマックスを作り出し、強い印象を残す。全体として、ランデウス・トリオはジャンルを超えた音楽的冒険と表現の自由さが魅力的だ。多彩な音楽的要素を取り入れ、予測不可能な展開とリズム感で聴き手を引き込み、新たなジャズの可能性を感じさせる。

左よりマティアス・ランデウス、ジョニー・オーマン、コルネリア・二ルソン
パーソネル
マティアス・ランデウス
(Mathias Landæus-p, melodica, fender Rhodes)
ジョニー・オーマン(Johnny Åman – b)
コルネリア・二ルソン(Cornelia Nilsson – ds)
リンク
Resilience (Bandcamp)Landæus Trio Live 2025 (YouTube)

Mathias Landæus Trio
Resilience
SFÄR Records
2025
INFO