All Slow Dream Gone

Agnas Flaten Ståhl Texas   スウェーデン

Words by JazzProbe

スウェーデンの3 名のミュージシャンであるヨハンソン、ストール、アグナスは、昨年スウェーデンの グラミー賞を受賞したJohan Lindström(ヨハン・リンドストローム)グループ、自己のバンドや北欧圏 内のさまざまなグループやセッションに参加する現在のスウェーデンを代表する精鋭ミュージシャンたち だ。またノルウェーのベース奏者フラーテンは人気グループAtomic、故ヨン・クリステンセンほか、ジ ョー・マクフィーなどとコラボレーション、メンバーとして参加するヴァイオリン奏者Ola Kvernberg (オラ・クヴァ―ンベリ)グループがノルウェーのグラミー賞受賞、故チック・コリアを迎えたノルウェ ー、コングスベルグ・ジャズフェスでのライブアルバムをリリースするなど経験豊富な実力者であり、4 名のミュージシャンのハイレベルな音楽的バックグラウンドは疑いの余地がない。

基本的には60 年代、ビバップの和声法をさらに複雑にしたとされるポスト・バップ派を主導した盲目 のジャズピアニスト、レニー・トリスターノやその後継者でサックス奏者リー・コニッツといったフリ ー・ジャズやフリー・インプロビゼーションのスタイルである。それに加え、アンソニー・ブラクストン のコントラバス・サックスを彷彿とさせるサウンドとスタイルをベースにした色の濃いアルバムでもある。 それは、明確なメロディを持たず、あくまで断片的なモチーフから派生し、それが一連のおおきなメロデ ィとなていく。そして、あらかじめ決められた構成に沿って即興フレーズを核として楽器間のインタープ レイで進行させていく。中には、スタンダード・ジャズのコード進行だけを使って即興する曲もあるから、 広義に解釈しても、やはりフリー・ジャズと言っていいだろう。

収録8曲を聴いていくと絶妙に緩急の付けられた曲順となっており、しかもアルバムタイトルが一語ご とに付けられているのが明らかに意図的である。いま21 世紀に身を置きながらも、60 年代に生まれた雰 囲気を持ち、さらにアップデートされた新感覚のポストバップが新たに時代を超えて幅広く流布していく。 頭を空にし、何度でもボリュームを大きくして新鮮な感覚のインタープレイに没頭するのが最善の聴き方 であろうアルバムだ。

ペール・テキサス・ヨハンソン/ Per Texas Johansson (cl, bcl, cbcl)
マティアス・ストール/ Mattias Ståhl (vib, mar)
インゲブリット・ホーカー・フラーテン/ Ingebrigt Håker Flaten (b)
コンラッド・アグナス/ Konrad Agnas (ds)

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