Digelius Music

   フィンランド

Digelius

1971年に創業した「Digelius Music(ディゲリウス・ミュージック)」はフィンランドを代表する最も有名なレコードストアのひとつで、レコード店が立ち並ぶ五叉路の中心的存在です。オープン当初は、様々なジャンルで人気のある音楽を扱っていましたが、1980年代以降、ジャズ、フュージョン、フォーク、ワールドミュージックを中心に揃えています。 ディゲリウスはジャズやワールドミュージックの情報センターとして、アルバム・リリースのコンサートやイベント開催などミュージシャンとファンとの交流の場としても大きな役割を果たし、さらには、この地域の人気の観光スポットでもあります。

創業から46年、当時からのオーナーでもあるIlkka 〝EMU” Lehtinen(イルッカ・〝エム″・レハティネン)氏が、2017年10月22日に帰らぬ人となりました。ここに氏への哀悼の意を表しつつ、受賞歴などをご紹介します。

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ちなみに、ニックネームの「EMU(エム)」は、熱心な趣味であったバード・ウォッチングから名付けられています。

2011年、フィンランドのジャズミュージシャン協会の 〝The Jazz Digger of the Year″を受賞。この賞は、「ジャズへの真の永続的な関心を示し、寛容なコミュニティ精神を示す」ジャズリスナーへ授与されます。さらに、EMUは、大きな包容力でもってジャズを後押しをする旗手として、またミュージシャンとそのオーディエンスを繋ぐ人物として活動したと言われています。

EMUはディゲリウスについて、生前、次のように語っています。「ディゲリウス・ミュージックが長く続いた歴史の秘密は、計り知れない音楽への愛であり、音楽の歴史の入念な研究であり、主流の音楽スタイルから外れ、かつて魅力があった取るに足らないスタイルに対して妥協を許さないオープンな姿勢をとることにあります。それがジャズやフォーク、奇抜な実験音楽であれ、他の理由でただただ素晴らしい音楽的な体験をしようとも。さらには最善を尽くすために努力する勤勉さと顧客サービスも、私たちの成功の不可欠な要素なのです」。

また、EMUは日本のBSテレビで放送された、ヘルシンキの街角編で特集されたドキュメンタリー番組に出演。彼のちょっとした半生などが紹介され、彼を慕ってお店に集まるミュージシャンやお客たちの言葉から、あらためてその人柄の良さが偲ばれます。

2005年のフィンランド渡航以来、ヘルシンキを訪れた際には必ず足を運び、レコードやCDなど音源の購入はもちろん、なんといっても人格者EMUの経験豊富な知識と情報が楽しみで、滞在中は幾度となく遊びに行っていたような気がします。父のような存在の主が不在なのはとても残念なことですが、ディゲリウス通いを辞めることはありません。本当にどうもありがとうございました。 — jazzProbe

2023年3月末をもって閉店。We Jazzが屋号を受け継ぎ、移転して4月5日に新たに開店しました。

 

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BS Asahi

2023年3月末をもって閉店。We Jazzが屋号を受け継ぎ、移転して4月5日に新たに開店しました。