フィンランドで最も権威のあるジャズ賞の受賞者が決定!

フィンランド

Words by JazzProbe

Jukka Eskola Yrjo Award
© photo by Maarit Kytöharju

1967 年以来、毎年フィンランド・ジャズ協会がその年にジャズ界で活躍した人物に贈られる授賞式がタンペレ・ジャズハプニングの会期中に行われ、トランペット奏者でバンドリーダーのユッカ・エスコラ(Jukka Eskola)がYrjö賞、ドラマーのレイスカ・ライネ(Reiska Laine)にフィンランド・ジャズの生涯功労賞としてAndania 賞が贈られました。また、国営放送Yle Jazz Radio は、シベリウス音楽院の学生アドバイザーであるアンネ・エテラタロ(Anne Etelätalo)にShadow-Yrjö賞を授与しました。

1967 年以来、近年のYrjö賞の受賞者は、2021 年にドラマーのミッコ・ハッシネン、2020 年にサックス奏者のティモ・ラッシー、2019 年にピアニストのリーッタ・パーッキが受賞しています。今年の受賞者であるユッカ・エスコラは、2000 年代初頭から、ジミー・テナー、ニュースピリット・ヘルシンキ、そして北欧ジャズ人気の立役者となったファイヴコーナーズ・クインテット(2006 年より来日公演)で世界へと羽ばたいた目覚ましいキャリアを築いており、フィンランド・ジャズにおける同世代の重要なプレイヤーの一人として広く知られています。また、一般にはフィンランドのSuomi Love といったテレビの音楽番組の人気シリーズで、さまざまなライブバンドのエンターテイナーとしても知られています。

© photo by Maarit Kytöharju

エスコラは、自身のJukka Eskola Quintet(2005 年に来日公演)を始め、Jukka Eskola Orquesta Bossa のリーダーとして、Jukka Eskola Soul Trio(2018 年来日公演)によって、フィンランドから世界的に注目されるジャズの第一線において様々なグループで活動し、これまで200 枚を優に超えるアルバム に参加。キャリアを通じて、彼はビッグバンドでホーン・セクション・プレーヤーとして、またソリストとしてUMO Helsinki Jazz Orchestra、Espoo Big Band、Ricky-Tick Big Band などでも活動している。また、演奏活動だけではなく、近年はオウルのElojazz フェスティバル、ヘルシンキのSavoy JAZZFest、Oulu All Stars Big Band の芸術監督としての役割を務めてきた。

フェスティバルのメインとなるパッカフオネのステージで、記念の盾と花束、そしてエスコラ作の楽曲にインパイアされて創作されたアート作品が贈られ、「ジャズミュージシャンとして、またフィンランドのジャズシーンでやってきたことが、このように評価されることは私の心を温かくしてくれます。ミュージシャンとして、常にさまざまなジャンルに関わっていますが、ジャズという音楽は私の心と魂の中に息づいています。そこに私の仕事のすべてが集約させられているのです。このYrjö賞は私にとって大きな喜びであり、名誉なことです」という受賞の言葉に続き、受賞記念の演奏を自身のソウル・トリオで華やかに、観客と共に喜びを分かち合った。

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左からヤスカ・ルッカリネン(ds)、ユッカ・エスコラ(tp & flh)、ミッコ・ヘレヴァ(org)

レイスカ・ライネにアンダニア賞

© photo by Maarit Kytöharju

アンダニア賞はフィンランド・ジャズと文化の普及と確立のために、長期的かつ忍耐強い活動を行った個人またはグループにジャズ・フィンランドから授与されるものです。1988 年創設のアンダニア賞の今年の受賞者はドラマー、バンドリーダー、活動家、国会議員、ジャズに影響を与えたライスカ・ライネです。ライネ氏は1965 年に様々なダンス・ミュージックやジャズのバンドでキャリアをスタートさせて以来、フィンランドにおけるフィンランド・ジャズとジャズ文化の旗手として活躍しており、2020 年には自身のクインテットでフェスティバルに出演しています。

YLE Jazzradio のVarjo-Yrjöがアンネ・エテラタロ・ニエミネンに授与

© photo by Maarit Kytöharju

フィンランド放送協会YLE の長寿ジャズ番組YLE Jazzradio は、タンペレで毎年恒例のVarjo-Yrjö(Shadow Yrjö)賞も授与しました。Varjo-Yrjö は、フィンランドのジャズ文化に貴重な貢献をした人物、イベント、企業などに贈られるもので、通常はステージ上ではなく舞台裏での貢献が評価されます。今年は、シベリウスアカデミーの学生アドバイザーを長年務めているアンネ・エテラタロが受賞しました。エテラタロ氏の30 年以上にわたるキャリアは、何世代にも渡りジャズを学ぶ学生たちに影響を与え続けてきました。Varjo-Yrjö は、今回で20 回目の授与となります。

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Yrjö Award to trumpeter Jukka Eskola